今回は、鳥取県日南町のまち未来創造課の荒金さんにお話を伺いました。

日南町は、人口減少と高齢化が進む地域です。

少子化、高齢化という言葉だけで見ると、どうしても「人が減って大変な町」という印象になりがちです。

しかし、荒金さんのお話を聞いていると、日南町が向き合っている課題は、単に人口が減ることそのものではないように感じました。

人口減少よりも、暮らしを支える仕組みの維持が課題

日南町が直面している大きな課題は、人口減少そのものではなく、これまでの暮らしを支えてきた仕組みをどう維持していくかにあります。

道路、公共施設、買い物、医療、福祉、地域活動など、町の暮らしにはさまざまな機能が必要です。

人口が多かった時代には、広い範囲にそれらの機能を配置しても成り立っていました。

しかし、人口が減り、高齢化が進む中で、同じ形を維持し続けることは難しくなっていきます。

そこで重要になるのが、まちの機能をどう再配置するかという考え方です。

荒金さんのお話の中では、「スマートシュリンク」や、日南町が進める「コンパクトビレッジ」という言葉も出てきました。無理に町を大きく見せ続けるのではなく、暮らしに必要な機能を中心地域に集約し、今の人口規模に合ったまちの形を考えていくという発想です。

これは、縮小を後ろ向きに受け止める考え方ではありません。これからも日南町で暮らし続けるために、町の形を現実に合わせてつくり直していく取り組みだといえます。

「人が減っても、チャレンジする人を増やしたい」

日南町の未来について伺う中で、荒金さんが大切にしているのは、人口の数だけではありませんでした。

町にどれだけ人がいるかも大切ですが、それ以上に、そこで暮らす人たちがどのように生きているか。地域の中で挑戦する人がいるか。その挑戦を応援する人がいるか。そうした部分をとても大切にされている印象でした。


荒金さんは、日南町への想いをこのように話します。

「人が減っても、チャレンジする人を増やしていく町にしていきたいんです。そして、そのチャレンジを応援する人も増やしていきたい。

私は日南町が大好きです。日南町では、70代、80代はまだまだ若いと言われるんですよ。80代でも90代でも、みんな貪欲にチャレンジしています。

大事なのは、数だけではないと思っています。人の質というか、どれだけ前向きに動く人がいるか。たとえ人数が減っても、そういう人が多ければ、町のにぎわいは簡単には失われません。

年を取ったからといって諦めない町。90歳になっても挑戦する町。私は、この文化を引き継いでいきたいんです。

この間も、70代のりんご農家の方が『来年こんなことをやるから、一緒にやろう』と声をかけてくれました。普通ならリスクを考えて守りに入ってもおかしくない年齢かもしれません。でも、日南町にはそうやって前向きに動く人がいます。そういう人たちに、ピンピン楽しく生きてほしいんです」

高齢化を「弱さ」として考えない

高齢化という言葉は、地域課題として語られることが多くあります。

もちろん、医療や福祉、移動手段、買い物環境など、考えなければならないことは多くあります。

ただ、荒金さんのお話を聞いていると、日南町では高齢者を単に支えられる側として見ているわけではないことが分かります。

70代、80代、90代になっても、新しいことに挑戦する人がいる。農業を続ける人がいる。地域の中で誰かを誘い、何かを始めようとする人がいる。

これは、日南町にとって大きな力です。

人口が多い町でも、挑戦する人が少なければ、地域の空気は静かになっていきます。

一方で、人口が少なくても、前向きに動く人がいれば、町には活気が生まれます。

日南町が目指しているのは、人口を増やすことだけを目的にしたまちづくりではありません。

今いる人たちが元気に挑戦し、その姿に若い世代や外の人たちが影響を受ける。そうした循環をつくることなのだと思います。

町の未来は、人数ではなく関わる人の姿勢で変わる

人口減少が進む地域では、どうしても「何人減った」「高齢化率が何%になった」という数字が注目されます。数字は現実を知るうえで重要です。ただ、それだけで町の未来を決めつけることはできません。

日南町には、年齢を重ねても挑戦する人がいます。その挑戦を面白がり、応援しようとする人もいます。

荒金さんが話す「人が減ってもチャレンジする人を増やしたい」という言葉には、人口減少時代のまちづくりに必要な視点があると感じました。

これからの地域に求められるのは、昔と同じ規模を無理に維持することだけではありません。今の人口や暮らし方に合ったまちの形を考えながら、そこに住む人が前向きに関われる環境をつくることではないでしょうか。

日南町のまちづくりは、人口減少をただ嘆くのではなく、その中でどう豊かに暮らしていくかを考える取り組みでもあります。

人が減っても、挑戦する人がいる。
その挑戦を応援する人がいる。

そうした文化が残り続ける限り、日南町にはこれからも新しい動きが生まれていくのだと思います。

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著者:編集部